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「身分系」の在留資格とは?

2024年12月10日

「身分系の在留資格」とは、 日本との特別な繋がりを持つ外国人に付与される在留資格です。

「身分系」の在留資格の種類

◆ 在留期限が無い在留資格(無制限) 
  ・永住者:日本で永住許可を取得した外国人。
  ・特別永住者:1991年に施行された「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」で定められた在留資格またはその資格をもつ外国人。

 

◆ 在留期限がある在留資格5年、3年、1年、または6ヶ月。条件を満たす場合は更新が可能)  
  ・日本人の配偶者等:日本人と結婚している、または日本人の子として出生した外国人
  ・永住者の配偶者等: 永住者と結婚している、または永住者の子として出生した外国人
  ・定住者:個別の事情に基づいて特別に許可された外国人(例:日系人や難民)。

 

 これらの身分系の在留資格を持つ外国人は、一般的な就労ビザと異なり、就労内容や職種に制限がありません。そのため、工場でのライン作業、飲食店の接客、販売業、清掃業務といった単純労働から、ITエンジニア、デザイナー、通訳などの専門職まで、幅広い業務に従事することが可能です。
 この柔軟性により、外国人労働者を採用したい企業にとって、身分系在留資格を持つ人材は非常に魅力的な選択肢となります。特に、特定のスキルを必要としない業務にも採用が可能なため、人材不足が深刻化している業種や職種において、貴重な労働力として期待されています。

 

企業にとってのメリット

 1.幅広い職種での採用が可能
 一般的な就労ビザとは異なり、職種の制限がないため、企業は多様な部署での採用が可能です。
 たとえば、サービス業や製造業など、即戦力として幅広い分野で活躍が期待できます。

 2.労働時間の制限がない 
 留学生や家族滞在ビザのような就労時間の制限がなく、フルタイムでの雇用が可能です。

 3.長期雇用の可能性 
 在留期間の更新を行うことで、長期的な雇用が期待できます。また、本人が永住権を取得する場合、さらに安定した人材となります。

 

注意点

 身分系の在留資格を持つ外国人を雇用している場合、雇用主は必ずその在留期限が近づいているかどうかを適切に管理・確認する必要があります。もし在留期限を過ぎて不法滞在状態となった場合、そのまま就労を続けさせると、雇用主が不法就労助長罪に問われる可能性があります。
 そのため、在留期限が近づいた際には、従業員に更新手続きの必要性を伝えたり、在留カードを確認するなどの対応を行うことが重要です。

 

まとめ

 日本人の配偶者等ビザを持つ外国人労働者は、幅広い職種での採用が可能であり、企業にとって貴重な人材資源となります。 ただし、雇用に際しては、生活実態や就労条件に配慮することが重要です。

 外国人雇用のご相談は、ぜひ弊社にお問い合わせください!

新社会人向け:会社と社員が払うお金の話

2024年12月09日

会社と社員が折半するのはどのようなお金ですか?住民税も折半されるのでしょうか?

 会社で働く私たちにとって、給与明細を見て「一体どこへこんなに多くのお金が消えていくのだろう?」と疑問に思った経験がある方も多いのではないでしょうか。今回は、会社と社員が折半して支払うお金について、特に住民税が折半されるのかどうかを中心に解説していきます。

会社と社員が折半するお金とは?

会社と社員が折半して支払うお金として、最も代表的なものが社会保険料です。社会保険料は、病気やケガをした際の医療費の一部を補填したり、老後の生活を支える年金制度などを支えるための保険料のことです。

主な社会保険の種類

  • 健康保険: 病気やケガをした際に、医療機関にかかった費用の一部を国や会社が負担してくれる制度です。
  • 厚生年金保険: 老齢年金、障害年金、遺族年金などを受けられるようにするための制度です。
  • 介護保険: 介護が必要になった際のサービスを受けるための制度です。40歳以上の人が対象となります。

これらの保険料は、一般的に会社と社員が半分ずつ負担します。

住民税は折半するのか?

住民税は、原則として社員が全額負担する税金です。

会社は、従業員の給与から住民税を差し引いて、代わりに市区町村に納める「特別徴収」という方法をとっています。そのため、会社が負担しているように見えますが、実質的には従業員が支払っている税金です。

なぜ会社と社員が折半しないのか?

  • 所得に応じて課税される: 住民税は、個人の所得に応じて課税されます。所得が高い人ほど、多くの住民税を納める必要があります。
  • 特別徴収: 会社は、従業員の給与から住民税を差し引いて、代わりに市区町村に納める「特別徴収」という方法をとっています。

まとめ

種類 負担主体
社会保険料 会社と社員が折半
住民税 社員が全額負担

社会保険料は、病気やケガ、老後といったリスクに備えるために、会社と社員が共同で負担するものです。一方、住民税は、個人の所得に応じて課税される税金であり、社員が全額負担します。

その他

  • 雇用保険: 雇用保険も会社と社員が負担しますが、負担割合は健康保険や厚生年金保険とは異なります。
  • 労災保険: 労災保険は、仕事中のケガや病気に対して会社が全額負担する保険です。

社会保険料や住民税について、より詳しく知りたい場合は、会社、または最寄りの年金事務所や社会保険事務所、市区町村の税務課へお問い合わせください。

BJTビジネス日本語能力テスト(Business Japanese Proficiency Test)

2024年12月08日

 BJTビジネス日本語能力テスト(Business Japanese Proficiency Test)は、日本語を母語としない方々を対象に、ビジネスシーンで必要とされる日本語のコミュニケーション能力を客観的に測定・評価する試験です。この試験は、公益財団法人 日本漢字能力検定協会が主催しています。

 

試験の特徴とメリット

 ◆総合的な評価:BJTは「合格/不合格」ではなく、0点から800点までのスコアと、J5からJ1+までの6段階のレベルで評価されます。これにより、受験者は自身のビジネス日本語能力を詳細に把握することができます。

 ◆ビジネスシーンに特化:試験内容は、会議、商談、電話対応など、実際のビジネス場面を想定した問題で構成されており、実践的な日本語運用能力を測定します。

 

試験の構成

 BJTは以下の3部門で構成されています:

      1. 聴解部門:場面把握問題、発言聴解問題、総合聴解問題などが出題され、ビジネスシーンでのリスニング能力を評価します。

      2. 聴読解部門:状況把握問題、資料聴読解問題、総合聴読解問題などが含まれ、リスニングとリーディングの総合的な理解力を測定します。

      3. 読解部門:語彙・文法問題、表現読解問題、総合読解問題などが出題され、ビジネス文書の読解力や語彙力を評価します。

評価基準

 試験結果は、0点から800点のスコアで評価され、以下の6段階のレベルに分類されます:

      • J1+(600~800点):どのようなビジネス場面でも日本語による十分なコミュニケーション能力がある。

      • J1(530~599点):幅広いビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能力がある。

      • J2(420~529点):限られたビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能力がある。

      • J3(320~419点):限られたビジネス場面で日本語によるある程度のコミュニケーション能力がある。

      • J4(200~319点):限られたビジネス場面で日本語による最低限のコミュニケーション能力がある。

      • J5(0~199点):日本語によるビジネスコミュニケーション能力はほとんどない。

(写真:試験の公式サイトより引用)

受験のメリット

  ◆在留資格の取得に有利:BJTのスコアは、出入国在留管理庁から日本語能力の証明基準として認められており、在留資格の申請時に有利となります。

  ◆就職活動でのアピールポイント:高いスコアを取得することで、日本企業への就職活動において、日本語でのビジネスコミュニケーション能力を効果的にアピールできます。

 

受験方法

 BJTは、コンピュータを使用したCBT(Computer Based Testing)方式で実施されます。受験者は、個別のブースでコンピュータ画面に表示される問題とヘッドホンから流れる音声を基に解答します。

 試験時間

試験全体の所要時間は約2時間です。各部門の詳細な試験時間は以下の通りです:

      • 聴解部門:約50分

      • 聴読解部門:約30分

      • 読解部門:約40分

 受験料

 日本国内で受験する場合、受験料は税込7,000円です。海外で受験する場合の受験料は、受験地によって異なりますので、各地域の受験案内をご確認ください。

 再受験について

 BJTは、一度受験すると、次の受験までに3ヶ月の間隔を空ける必要があります。


 

BJTビジネス日本語能力テストは、日本でのビジネス活動を目指す方々にとって、自身の日本語能力を客観的に評価し、キャリアアップにつなげるための有力な手段となります。ぜひ挑戦してみてください。

仮方面許可は在留資格ではありません!

2024年12月07日

仮放免されている人を雇用しても問題ありませんか?

仮方面許可とは?

 仮放免は、入管法に基づく退去強制手続を受けている外国人について、病気その他やむを得ない事情がある場合に条件を付して、一時的に収容を停止し、身柄の拘束を仮に解く措置です。

 

仮方面許可を受けている人を雇用してもいいですか?

 仮放免された外国人は退去強制手続中という立場であるため、原則として仮放免許可書の裏面に「職業又は報酬を受ける活動に従事できない」との条件が付されており、就労することはできません。そのため、雇用してはいけません。

 なお、仮放免された外国人に当該条件が付されていないときなど、就労の可否に疑義がある場合は、最寄りの地方出入国在留管理局にお問い合わせください

 ※20236月に成立した入管法等改正法により、収容に代わる監理措置制度が創設されました。 監理措置に付された退去強制手続き中の外国人は、退去強制令書発付前に限り、生計の維持の必要な範囲内で、就労先を指定する等、一定の厳格な要件の下で、例外的に就労が許可されることがあります。
 等、就労の可否については同人が所持している監理措置決定通知書の記載を確認してください。また、就労の可否に疑義がある場合は、最寄りの地方出入国在留管理局にお問い合わせください。

経営者向け:有給休暇日の交通費は控除可能?

2024年12月06日

有給休暇を取得した日の交通費を通勤手当から引いてもいいですか?

 法的には、通勤手当から有給休暇取得した日数分の交通費を給与から差し引くことはできます
ただし、あらかじめ就業規則でルールを定めておく必要があります

 通勤手当は法令等で支払うよう義務づけられているものではありません。それ故に、通勤手当は就業規則の規定に沿って支払われることになります。

 出勤した日にかかった実費のみ支払いたいときの就業規則の記載は、下記のような一文になります。
【例】
   ・通勤手当は、実際に出勤をした出勤日に応じて支給する。
   ・有給休暇取得日の通勤手当は支払わない。 

在留期間更新/在留資格変更の費用の請求

2024年12月05日

退職する外国人従業員が会社を退職する際に、会社から在留期間更新や在留資格変更の費用を請求することは可能ですか?

 退職する外国人社員に対して在留期間更新や在留資格変更の費用を請求できるかどうかは、法的に明確には定められていません。

 在留期間更新費用や資格変更費用をどちらが負担するかについては、法律上の取り決めがないため、入社時や費用発生時に会社と従業員の間でどのような取り決めがされていたかに依存します。

 ポイントは、その費用が「貸付」として成立していたかどうかです。

      1. 従業員が個別に合意をしていたか。
      2. その合意内容が適切であったか。

 これらに基づき、一般的に判断されます。費用が「貸付」として成立していた場合は返済義務が生じますが、成立していなければ返済義務はありません。

 不要なトラブルを防ぐためには、会社と労働者が雇用契約を結ぶ際に、在留資格に関する費用の負担について事前にしっかりと話し合い、合意しておくことが重要です。具体的には、ビザの申請費用や更新費用を誰が負担するのか、また、会社が費用を負担する場合にはどのような条件があるのかを明確に定めておく必要があります。さらに、これらの合意内容を必ず書面に記録しておくことで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。

企業様必見!不法就労助長罪:気を付けましょう!

2024年12月04日

不法就労とは?

不法就労となるのは、次の3つの場合です。

❶不法滞在者や被退去強制者が働くケース
 例)密入国した人や在留期限の切れた人が働く
   退去強制されることが既に決まっている人が働く

➋就労できる在留資格を有していない外国人で出入国在留管理庁から働く許可を受けていないのに働くケース
 例)観光等の短期目的で入国した人が許可を受けずに働く
   留学生や難民認定申請中の人が許可を受けずに働くケース

❸外国人の方が現に有している在留資格で認められた範囲を超えて働くケース 
 例)外国料理のコックや語学学校等の先生として働くことが認められた人が工場で作業員として働く
   留学生が許可された時間数(原則28時間以内)を超えて働く

 

事業主も処罰の対象となります!!

 ◆不法就労させたり、不法就労をあっせんした人(不法就労助長罪)
         → 3年以下の懲役・300万円以下の罰金

  ※外国人を雇用しようとする際に、当該外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰を免れません

 ◆不法就労をさせたり、不法就労をあっせんした外国人事業主
    → 退去強制の対象

 ◆外国人の雇用又は職業について、ハローワークへの届出をしなかったり、虚偽の届出をした
         → 30万円以下の罰金

 

在留カードの記載事項を確認してください!

 在留カードは、企業等への勤務や日本人との婚姻などで、入管法上の在留資格をもって適法に中長期滞在する外国人が所持するカードです。
 ※旅行者のように一時的に滞在する方や不法滞在者には交付されません。

 特別永住者の方を除き在留カードを所持していない場合は、原則として就労できません。そのため、雇用する際は、必ず在留カードをご確認ください!

 また、近年、偽造の在留カードが出回っていますので、必要に応じて、出入国在留管理庁が提供している在留カード確認の専用サイトやアプリを使ってご確認ください。

◆在留カード等番号失効情報照会ページ
https://lapse-immi.moj.go.jp/ZEC/appl/e0/ZEC2/pages/FZECST011.aspx

◆在留カード等読取アプリケーション
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/rcc-support.html

年収94万円なのに住民税が課税された理由とは?

2024年12月03日

市県民税は年収が100万円以上であれば課税されると聞いていますが、私は夫の扶養に入りながらアルバイトをしており、昨年の年収は94万円だったのに課税されました。なぜですか。

 市県民税(住民税)には、所得にかかわらず定額の負担を求める「均等割」と、所得に応じた負担を求める「所得割」があります。

 均等割は、前年の収入が課税対象の年収を超えると一律同じ税額が課税されます。給与収入のみの場合、おおよそ年収93万円〜100万円を超えると均等割の対象になります。

 多くの自治体では年収100万円を非課税ラインに設定していますが、自治体ごとに異なるため、詳細な情報は管轄の自治体にご確認ください。

申請番号はいつ発行されますか?

2024年12月02日

申請番号はいつ発行されるものでしょうか?

 申請番号は、窓口で申請する場合、受理された後に渡される申請受付票に記載されています。そのため、申請当日に分かります。

 オンライン申請の場合、申請直後に申請を行った方(会社の担当者や行政書士など)のメールに「申請受付仮番号」が通知されます。正式な申請番号は、申請の翌日に発行されます。  
 ※オンライン申請の場合、申請システム上で手続きを行った方のみが通知が送信されます。申請人本人であってもシステムでメールを登録しない限り、申請番号の通知があなたのメールに届くことはありません。

日本を離れる外国人従業員のための「年金脱退一時金」申請ガイド

2024年12月01日

外国人従業員が退職して帰国します。今まで支払った厚生年金はどうなりますか?

 外国人従業員が退職し、日本を離れて帰国する場合、今まで支払った厚生年金については「年金脱退一時金」の申請が可能です。 これは、日本で厚生年金に加入していた外国人が帰国後に受け取れる一時金で、条件を満たすことで一部が返金されます

 

年金脱退一時金の概要

 年金脱退一時金は、一定の条件を満たした外国人労働者に対し、日本での厚生年金保険料の一部を返還する制度です。

以下の条件を全て満たす必要があります。

① 日本国籍がない
② 厚生年金保険、国民年金保険、共済組合の被保険者ではない
③ 厚生年金保険の加入期間が6か月以上ある
④ 老齢年金の受給資格期間(10年間)を満たしていない
⑤ 障害厚生年金(障害手当金含む)などの年金を受ける権利を持ったことがない
⑥ 日本国内に住所がない(日本を出国し、住民票を除票)
⑦ 退職後2年以内に申請:帰国後、2年以内に脱退一時金の申請を行うこと

 

支給される金額

 支給される金額は、納付期間に応じた一時金が支払われますが、厚生年金の全額ではなく、一定の計算基準に基づいて一部のみが支払われます。また、脱退一時金には所得税が源泉徴収されるため、支給額から税金が引かれた後の金額が振り込まれます。

 尚、納税管理人を選任し、管轄の税務署に「納税管理人の届出書」を提出し、納税管理人に退職所得の選択課税による還付申告を行えば、所得税の還付を受けられる場合があります。

 

申請手続き

 申請手続きには、退職者のパスポート、銀行口座情報などが必要です。申請書類を整え、日本年金機構に提出することで手続きが開始されます。

 

 外国人従業員が退職して帰国する場合、支払った厚生年金は、脱退一時金として払い戻しを受けることができます。ただし、社会保障協定の有無や請求期限など、注意すべき点があります。

 具体的な手続き方法や、ご不明な点については、最寄りの年金事務所にご相談ください。ご自身で手続きを行うのが難しい場合は、専門家に相談することもおすすめします。