日本を離れる外国人従業員のための「年金脱退一時金」申請ガイド

2024年12月01日

外国人従業員が退職して帰国します。今まで支払った厚生年金はどうなりますか?

 外国人従業員が退職し、日本を離れて帰国する場合、今まで支払った厚生年金については「年金脱退一時金」の申請が可能です。 これは、日本で厚生年金に加入していた外国人が帰国後に受け取れる一時金で、条件を満たすことで一部が返金されます

 

年金脱退一時金の概要

 年金脱退一時金は、一定の条件を満たした外国人労働者に対し、日本での厚生年金保険料の一部を返還する制度です。

以下の条件を全て満たす必要があります。

① 日本国籍がない
② 厚生年金保険、国民年金保険、共済組合の被保険者ではない
③ 厚生年金保険の加入期間が6か月以上ある
④ 老齢年金の受給資格期間(10年間)を満たしていない
⑤ 障害厚生年金(障害手当金含む)などの年金を受ける権利を持ったことがない
⑥ 日本国内に住所がない(日本を出国し、住民票を除票)
⑦ 退職後2年以内に申請:帰国後、2年以内に脱退一時金の申請を行うこと

 

支給される金額

 支給される金額は、納付期間に応じた一時金が支払われますが、厚生年金の全額ではなく、一定の計算基準に基づいて一部のみが支払われます。また、脱退一時金には所得税が源泉徴収されるため、支給額から税金が引かれた後の金額が振り込まれます。

 尚、納税管理人を選任し、管轄の税務署に「納税管理人の届出書」を提出し、納税管理人に退職所得の選択課税による還付申告を行えば、所得税の還付を受けられる場合があります。

 

申請手続き

 申請手続きには、退職者のパスポート、銀行口座情報などが必要です。申請書類を整え、日本年金機構に提出することで手続きが開始されます。

 

 外国人従業員が退職して帰国する場合、支払った厚生年金は、脱退一時金として払い戻しを受けることができます。ただし、社会保障協定の有無や請求期限など、注意すべき点があります。

 具体的な手続き方法や、ご不明な点については、最寄りの年金事務所にご相談ください。ご自身で手続きを行うのが難しい場合は、専門家に相談することもおすすめします。